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絵本江戸土産えほんえどみやげ・くずし字を読む
= 絵本江戸土産 初編 序 =

《絵本江戸土産 初編 叙》
スミソニアン協会図書館蔵
Smithsonian Libraries
《絵本江戸土産 初編 叙の部分合成》
《翻刻》

繪本江戸土産ゑ本んえど三やげ原版げん者んハ、いま類こと一百年いつひやくねん宝暦者う連き能そのむ可し、當時多うじ名高な多可画エぐ王こう尓て、西村重長尓しむら志げな可゛奈るも能ゝなりあとおひて、次編じへん鈴木春信すゞき者るのぶてふ画工ぐ王こうこれつげ里となむ。そのころお本い流行里う可うして、繪本ゑ本ん鼻祖びそおふ可連しも、一年ひとゝせ祝融志ゆくゆう王ざハい可ゝり、彫枚えりい多つくして烏有ううと奈連り。鳴呼ああをしい可なこのしよごと東都とうと繁華者んく王ハか者ら祢ど、中古ちうこ風俗ふうぞくみるれ里。志可る尓名所古跡めいしよこせきといへども、お本星霜せいさうふるおよびて、治革ゑん可く春ること奈き尓あら春゛。這回こ多び志きり思起おもひおこして、廣重子ひろ志げしもと免、現存げんぞんありさ滿をゑ可ゝせつ。再刻さいこくときい多るも、書肆しよし金幸堂きん可う多゛う可゛丹誠多んせい尓て、遠國をんごく他郷多きやうつとよろしく、新古志んこならべみるとき時勢じせい流の一助いち志゙よち可し。再刻さいこくなる志゙よこふす三や可ふでとり、その来歴らい連きのべてもて、端書者し可き可ゆるといふ。
庚戌初候秋日 金水陳人題

《現代表記》
じょ
絵本江戸土産えほんえどみやげ原版げんぱんは、今を去ること一百年、宝暦ほうれきのそのむかし、当時名高き画エがこうにて、西村重長にしむらしげながなるものの手になりしあとおいて、次編じへん鈴木春信すずきはるのぶちょう画工のこれつげりとなん。そのころおおいに流行りゅうこうして、絵本の鼻祖びそあおがれしも、一年ひととせ祝融しゅくゆうわざわいにかかり、彫枚えりいたつくして烏有ううとなれり。鳴呼ああしいかなこの書のごと東都とうと繁華はんかはかわらねど、中古ちゅうこ風俗ふうぞくを見るにれり。しかるに名所古跡めいしよこせきといえども、多く星霜せいそうるに及びて、治革えんかくすることなきにあらず。這回こたびしきりに思い起こして、広重子ひろしげしもとめ、現存げんぞんありさまをえがかかせつ。再刻さいこくの時至るも、書肆しょし金幸堂きんこうどう丹誠たんせいにて、遠国おんごく他郷たきょうつとよろしく、新古しんこならる時は時勢じせいを知るの一助いちじょちかし。再刻なるの日、じょう。余すみやかに筆をり、その来歴らいれきのべてもて、端書はしがきかゆるという。
庚戌初候秋日 金水陳人題

宝暦ほうれきは、1751年から1764年。 この、歌川広重による『絵本江戸土産』が描かれ始めたのは、 嘉永かえい 3年〈1850年〉で、宝暦は百年前ということになる。
*『絵本江戸土産』は、 西村重長 にしむらしげなが によって宝暦3年〈1753年〉に、鈴木春信すずきはるのぶによって 『絵本続江戸土産』が明和5年〈1768年〉に描かれている。
*鼻祖(びそ)は、 ある物事を最初に始めた人。元祖。始祖。。
*祝融(しゅくゆう)は、 火事。 火事の災難。
*彫板(えりいた)は、木版印刷するために、書、画を彫った版。版木(はんぎ)。
*烏有(うう)は、烏有(うゆう)。全くないこと。何も存在しないこと。
《このページの翻刻・現代表記について》
  1. 翻刻では、振り仮名も全て含めた。適宜、句読点を補った。
  2. 現代表記では、旧字体を新字体に、歴史的仮名遣いを現代仮名遣いにした。また、適宜、送り仮名、振り仮名の追加・省略、句読点の追加など行った。
  3. 絵本江戸土産の初編の序を、画像を用いて全ての文字を平仮名で表記し、いわゆる変体仮名の字母も表記したページを用意した。別のページを参照されたい。
漢字かな

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Last updated : 2021/10/23